MIKIYA KUBO

こんにちは、投稿者のKuboです。

何の話か:WordPressテーマ「Alone」に未認証で不正ファイルをアップロードできる重大脆弱性が確認され、実害が報告されています。
誰向けか:非営利・教育・公共団体サイトの運用者、制作会社、保守担当者。
得られること:影響判定→即時対処→痕跡確認→再発防止まで、今日から実行できる最短手順を示します。

1. 要点

結論:Aloneテーマは7.8.3以下で未認証の任意ファイルアップロードが可能で、遠隔で任意コード実行(RCE)に至る恐れがあります。テーマを7.8.5以降へ更新し、痕跡確認と不要プラグインの洗浄を即日で終えましょう。

2. 脆弱性の概要

脆弱性はテーマ内の処理に権限チェック抜けがあり、攻撃者が管理者でなくても、テーマの機能を経由してZIP(疑似プラグイン)をアップロードできる点にあります。結果として、サーバ上にWebシェル(攻撃用ファイル)を置かれ、サイト乗っ取りに発展します。

3. 影響範囲と対象バージョン

影響はAlone – Charity Multipurpose Non-profit WordPress Theme7.8.3以下。ベンダー修正を含む7.8.5以降への更新が推奨されています。各国の政府系機関が積極的悪用を警告しており、対処は最優先課題です。

4. 今日すぐの最短対処フロー

4-1. 事前準備(5分)

  • 対象サイトのフルバックアップ(ファイル+DB)。
  • 管理者・FTPのパスワード変更二要素認証

4-2. 速やかな更新(15分)

  • テーマを7.8.5以降へ更新(子テーマ利用時も親テーマを更新)。
  • 「見慣れないプラグイン」「最近作成の管理者ユーザー」を洗い出し、無効化→削除

4-3. 侵害痕跡の一次チェック(30分)

  • アクセスログに特定のAJAX呼び出しがないか確認。
  • wp-content/plugins/wp-content/upgrade/ の不審ZIP/フォルダを点検。

5. 侵害有無の見極め:ログとファイルのチェック

以下はApache/Nginxでの簡易検索例です。環境に合わせてパスを調整してください。

# 1) 脆弱なAJAX呼び出しの痕跡 grep -R "admin-ajax.php?action=alone_import_pack_install_plugin" /var/log/httpd/ -n grep -R "admin-ajax.php?action=alone_import_pack_install_plugin" /var/log/nginx/ -n
2) 直近で生成された怪しいZIP/プラグインを探索(7日以内例)

find /var/www/html/wp-content/upgrade -type f -mtime -7 -name "*.zip" -ls
find /var/www/html/wp-content/plugins -maxdepth 1 -type d -mtime -7 -ls

3) 典型的なWebシェル名の一次抽出(例)

grep -R "eval(base64_decode" /var/www/html/wp-content/ -n
grep -R "assert($_POST" /var/www/html/wp-content/ -n

不審が見つかったら即時隔離→ログ保全→復元+原因切り分けを並行し、二次被害を防ぎます。

6. 再発防止の設計(運用・設定・監視)

  • テーマ/プラグインの在庫整理:使わないものは削除(無効化の放置は不可)。
  • 自動更新の方針化:本番は段階適用、ステージング検証→本番反映
  • 監視:管理者追加・プラグイン追加・ファイル改変の通知を有効化。
  • バックアップ設計:RPO/RTOを明文化し、復元リハーサルを実施。
  • 最小権限:不要な管理者権限を整理。SFTP/DBも同様。

7. FAQ

Q1. どのバージョンに上げれば安全ですか?

修正を含む7.8.5以降を推奨します。更新後も過去侵害の有無は別途確認が必要です。

Q2. 更新しただけで安心できますか?

いいえ。更新は今後の悪用防止です。過去の侵害有無はログとファイルで確認してください。

Q3. 何から見れば良いですか?

AJAX呼び出し痕跡upgrade/plugins配下の新規ZIP不審ユーザー/不明プラグインの三点が入口です。

Q4. サイトが改ざんされていたら?

直ちに隔離(WAFやBASIC認証)、バックアップから復元原因切り分け認証情報総入替を同時進行します。

Q5. ベンダーの一次情報はどこを見れば良い?

CVE(NVD)、政府機関アドバイザリ、テーマ配布元の更新情報が起点です。本記事末のリンクをご参照ください。